顧客への約束=ブランドプロミス

企業ブランドイメージ くら寿司の価格維持宣言の画像

from:愛知県の宣伝職人モアレス

@刈谷市のファミレスより

 

このブログ記事は、私が2018年に書いたブログを再校正しています。ぜひ、皆さんの事業や商品のブランディングにお役立てください。

「価格維持宣言」

先日、くら寿司に行ってきました。上の写真はそのくら寿司の座席に着いていた店内掲示物です。興味深いな~と感じたので、思わずカメラでパシャリ。

 

このポップに書かれていた内容は、

 

~これからも全皿100円均一を守り続けます~

価格維持宣言

 

 

どうでしょうか?この宣言文を見て、何か感じましたか?私はこれを見て、企業がブランディングを進める上で、陥りがちな”あること”を思い出しました。

顧客への約束

企業が顧客に対して約束をすることや主張(メッセージ)を、ブランドプロミスとも言います。通常、企業がブランドプロミスを市場に打ち出すことによって、企業価値が高まったり、業界内で一定の地位を確立する効果が期待できます。というのも、そのメッセージが見込み客に共感されれば、市場に受け入れられるスピードを加速したり、ファンを増やすきっかけになるからです。

 

わかりやすい例でいえば、ライザップの「結果にコミット」も顧客への約束ですね。その約束を果たすことを企業の使命として、広告宣伝に使っているわけです。このくら寿司の「価格維持宣言」もそうした「約束」なのでしょうか?というよりも、このメッセージ、誰に向けた主張(メッセージ)なんだろう???

【注意】約束はキャッチコピーではない

ブランドプロミスを作る場合、気をつけないといけないのは、その主張のレベルが聞こえの良いだけのものだったり、弱い約束であっては意味がありません。

 

例えば、ガソリンスタンドが「価格維持宣言」として、

 

刻々と変わるガソリン価格を、弊社は○○円に統一し、何があっても値上げをしないことをここに誓います

 

、、、と言われたら、「わ~!すごい!ガソリン入れに行こまい!」となりませんか?これは、企業の発信する主張(メッセージ)が、競合他社の多くがその約束を実現していない状況だったり、追従できなさそうな場合に強力なメッセージになるからです。

 

つまり、見込み客の頭の中には「ガソリン価格は変動して当然で、最近やたら高い」という不満にも似た「信条(思い込み・通念)」があるわけです。

見込み客が信じていること、信じていないこと

確かにココ最近、1皿200円とか300円といった回転寿司店が好調ですよね。冒頭のくら寿司の「価格維持宣言」も、そうした一皿200円、300円のお店との違いを打ち出す目的なら、「価格維持宣言」は良いメッセージかもしれませんね。その場合、このメッセージのターゲットは「一皿200円、300円の回転寿司を食べている人」になるわけです。

 

では、他の「1皿100円の回転寿司」業界の動きはどうでしょうか?特に値上げしているような動向はありません。(注:これは2018年当時の話です)

 

そうなれば、当然、私も含めた「一皿100円回転寿司」消費者の頭の中には「回転寿司は最近値上げしてるし、やんなっちゃう・・・」・・・なんてことは全くないですよね?同じ回転寿司であっても、同列に考えているとは思えません。おそらく、

  • 「1皿100円の回転寿司屋さん」
  • 「そうでない回転寿司屋さん」

と分けて認識しているはずです。主な顧客層もそれぞれ分かれているのではないでしょうか?

 

だからこそ、一皿100円の回転寿司に来ているお客さんに、「価格維持宣言」という主張はメッセージとしてはイマイチなんじゃないかな~と思いました。

 

あなたのお客さまは誰で、あなたの真の競合他社は誰かを理解しないと、せっかくお金をかけたメッセージ文も意味がないものになってしまいます。でも、結構こういうポスター多いんですよ。心に刺さらないメッセージが載っているポスター・・・。私も常々、仕事において「この企業メッセージは心を動かすか?」を自問自答して、チラシやホームページのコピー(文章)を考えています。

P.S.

 

この記事を書いたのは2018年。それ以降、回転寿司業界は値上げの波、そして高級回転寿司店の盛り上がりなどがあり、2018年当時とはまた違った市場競争となっています。今回、記事を再校正するにあたり、このまま載せるかどうか迷いましたが、これも一つの記録として残すことにしました。